黒子のバスケ

総合評価 4.08

ストーリー

4.0

キャラクター

4.3

メッセージ

3.9

オリジナリティ

4.0

ビジュアル

4.2

かつて“キセキの世代”と呼ばれる天才たちが君臨した中学バスケ部には、黒子テツヤというほとんど存在感のない幻の六人目がいた。高校で火神大我と出会った黒子は、誠凛バスケ部でキセキの世代への挑戦を宣言する。火神の圧倒的身体能力と、黒子の消えるようなパスワークが合わさるとき、強豪校相手に奇跡の逆転劇が繰り広げられる。華やかさの裏で、地味に光る影の力がバスケの常識を揺るがしていく。

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漫画評論家 瀬戸美波氏のレビュー

「影を背負う少年が挑む、奇跡の世代への静かな反撃。」

総合評価

4.08

バスケットボールという華麗な競技の中で、あえて“地味”という武器を選んだ黒子テツヤの存在が眩しく見える。天才プレイヤーであるキセキの世代に対して、黒子は影となって仲間を輝かせる。その立ち位置が火神の炎のようなプレイと相まって、誠凛高校の試合をドラマチックに彩る。必殺技然とした技巧が多いため、バスケットというよりも超人的バトルに近い演出が目立つが、それこそが作品の個性であり、読者を躍動的な興奮へ誘う。読み終えたときには、派手な光の裏で控える影の力がどれほど尊く、またチームにとって必要かを改めて思い知るだろう。

ストーリー

4.0

キセキの世代という天才集団に対し、黒子と火神が異色のコンビで挑む構図は痛快だ。試合ごとに新たな天才が立ちふさがり、必殺技対決のような展開になるが、友情やチームワークといった要素もしっかり描かれる。テンポが速く、大きな波乱を連続で楽しめる。

キャラクター

4.3

黒子の消えそうな存在感と、火神の火のような熱量の対照が魅力的。さらに個性豊かなキセキの世代がそれぞれ圧倒的な力を誇り、勝ち負けだけでなく性格のぶつかり合いが見どころになる。誠凛の他メンバーや対戦校の面々も多彩で、脇役にも光が当たる。

メッセージ

3.9

単なる天才崇拝ではなく、影に徹する黒子の生き方に一つの答えがある。どんなに強いエースでも、一人では勝てない。かといって影だけでも成り立たない。光と影が合わさるからこそ真の力が生まれるという主張が、バスケという競技のチーム性をうまく象徴している。

オリジナリティ

4.0

バスケを必殺技バトルのように演出し、各キャラが異能に近いスキルを持つ点が少年漫画的な華やかさを生む。一方で、ポジションやプレースタイルに沿った見せ方が工夫されており、「黒子はパスで輝く」という逆説が物語の核になる点は、スポーツ漫画としてユニークだ。

ビジュアル

4.2

視線誘導が巧みで、スピード感のあるドリブルやシュートを派手に表現する。プレイヤーの動きは誇張されているが、それが躍動感と迫力を増幅する。決定打の瞬間には画面を大胆に使い、読者の興奮を大きく揺さぶる演出が際立っている。