「閉ざされた壁の内外で、自由は絶望を纏う。」
総合評価
4.26
ゴン=フリークスは、幼い頃に姿を消した父を追うため“ハンター”になることを決意。危険な試験を突破し、仲間のキルアやクラピカらと出会う中で、念能力という不思議な力を身につける。幻影旅団との対決や、謎多き生物「キメラアント」、さらには暗黒大陸をめぐる陰謀など、広大な世界を舞台に多様な物語が展開。ゴンは純粋な好奇心と友情を胸に、未知への冒険に踏み出していく。
ストーリー
4.4
試験編、幻影旅団編、グリードアイランド編、蟻編……と章ごとに趣向がまるで異なる。主人公が同じとは思えぬほど新鮮なエピソードが次々登場し、読者を飽きさせない。膨大な情報量と伏線が詰め込まれながらも、きちんと物語として機能している点が高評価の理由だ。
キャラクター
4.5
ゴンの眩しさと、キルアの闇を抱えた天才ぶりの対比が秀逸。クラピカやレオリオ、ヒソカ、旅団の面々など、どれを取っても強烈な個性を放つ。敵味方の境界線を曖昧にすることで、いつ誰が主役になってもおかしくないほど、キャラクター世界が深く構築されている。
善悪や正義が直線的に語られない。ゴンでさえ、何が正しいか分からなくなる瞬間を幾度も経験する。この混沌とした価値観の中で、自分の欲求を貫くことが正義にも悪にもなり得る。そんな多義性が、人生とは何かを問い続けるように作品を突き動かしている印象だ。
オリジナリティ
4.4
念能力という独特のパワーシステムは、能力バトル漫画の金字塔といえる完成度。ファンタジーかと思いきや、政治や生態系を論じるリアル路線まで取り入れる懐の深さがある。ストーリーの方向性が定まらないことで起こる予測不能な面白さは、他の追随を許さない。
ビジュアル
4.0
作者の休載や作画の変動で品質にばらつきはあるものの、要所の決めシーンや戦闘描写はテンションが高い。指先や目の動きなど細部で駆け引きを表現し、念能力の独自ルールを視覚的に表す巧みさが光る。派手さよりも戦略と緊張感を際立たせる構成が多い。