アオアシ

総合評価 4.04

ストーリー

4.1

キャラクター

4.2

メッセージ

4.3

オリジナリティ

3.9

ビジュアル

4.0

愛媛の中学生・青井葦人は、ガムシャラなプレーが特徴のサッカー少年。ある試合でJユースの監督・福田に才能を見いだされ、東京のユースチームへの挑戦が始まる。高いレベルの戦術や仲間たちの個性に圧倒されながらも、葦人は自分の新たな可能性を模索する。守備の重要性やポジショニングを学び、チームの歯車の一部となることの難しさを知るが、そこに芽生えるのは、広いピッチでこそ開花する強い意志だ。

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漫画評論家 瀬戸美波氏のレビュー

「少年の足音が描く戦略図、新天地で芽吹くサッカーの種。」

総合評価

4.04

「アオアシ」は、地元愛媛という風土と、都会のプロ育成組織という対比が鮮やかだ。葦人が育んできた泥臭いサッカーと、Jユースの洗練された戦略が交わるとき、読者は競技の深奥に触れる感覚を得る。守備やチームの駆け引きが徹底的に描かれ、ひとりのスーパーエースだけに頼るのではなく、総合力で勝利を目指す世界をリアルに感じ取れる。葦人は試合ごとに壁にぶつかるが、そのたびに新しい視野を獲得し、大地に根を張るように強くなる。読み終わったあとには、広いサッカーコートを吹き抜ける風に、草の匂いと汗のにおいを同時に感じるだろう。

ストーリー

4.1

愛媛の中学生がJユースに挑むという地方と都会のコントラストが主体になっている。試合や練習の過程で、守備や組織プレーをじっくり描くため、単なるヒーロー活躍譚ではなくチーム全体の成長物語としてスケールが増す。段階的にレベルが上がっていく展開も親切だ。

キャラクター

4.2

葦人の熱血と天然っぽさ、仲間やライバルの多彩な性格が交差して、ユースチーム内で小さなドラマが絶えず起こる。監督・福田の存在感も大きく、言葉ひとつで流れを変えるカリスマ性が興味深い。主人公を取り巻く人々が育成の実態をリアルに浮き彫りにしている

メッセージ

4.0

サッカーは個人プレーだけでなく、戦術や連携が不可欠だという点を正面から描く。葦人は独力で得点を狙うよりも、位置取りやビジョンを磨くことで進化していく。この姿勢が「チームスポーツの本質」を強く訴え、読者に共感や新鮮な感動を与える。

オリジナリティ

3.9

Jユースというリアルな育成組織を詳しく描き、スポーツ漫画の枠にプロの練習システムやスカウト、契約などの要素を盛り込んでいる。地方からの上京や戦術論が特徴で、単純な超人的プレーに頼らない群像劇が味わえる。しかし骨子は成長サクセスなので、王道感も強い。

ビジュアル

4.1

試合中のパスやディフェンスの動きを複数の視点で捉え、コマ運びで選手の配置をわかりやすくしている。派手な必殺技は少ないが、身体の動きを的確に描写し、表情やスピード感で迫力を演出。背景やグラウンドの作画は手堅く、読者が試合の局面を把握しやすい。